AWS Backupでは、バックアップルールの頻度を「毎時」に設定できます。ただし、指定時刻ちょうどに処理が始まるとは限りません。運用で重要なのは、開始ウィンドウと完了ウィンドウの意味を正しく理解し、前のジョブが次の時間帯に重なる可能性まで見込むことです。
この記事の要点
- 毎時バックアップは、バックアップルールの頻度で設定する
- 開始ウィンドウは「開始してよい時間幅」であり、開始時刻の確約ではない
- 完了ウィンドウは「完了を待つ上限」であり、完了時刻の保証ではない
- メンテナンスや先行ジョブなどですぐに開始できない場合、開始ウィンドウが短いほど開始の猶予と再試行の機会が少なくなり、
EXPIREDになる可能性が高まる - 前のバックアップが長引くリソースでは、毎時実行が適切かを実測で判断する
AWS Backupで毎時バックアップを設定する方法
AWS Backupコンソールでバックアッププランを作成または編集し、バックアップルールの頻度として「毎時」を選択します。開始時刻、開始ウィンドウ、完了ウィンドウ、保持期間、保存先バックアップボールトも同時に設定します。
- AWS Backupで「バックアッププラン」を開く
- バックアップルールを作成する
- バックアップ頻度を「毎時」にする
- 開始時刻と開始ウィンドウを設定する
- 完了ウィンドウとライフサイクルを設定する
- 対象リソースを割り当てる
開始ウィンドウとは
開始ウィンドウは、予定時刻からバックアップジョブを開始できる時間幅です。たとえば開始時刻が00:00、開始ウィンドウが1時間なら、ジョブは00:00~01:00の間に開始されます。00:00ちょうどの開始を保証する設定ではありません。
ウィンドウ内に開始できなかったジョブは EXPIRED になります。AWS Backupは、再試行可能なエラーの場合、開始ウィンドウ中に少なくとも10分ごとに開始を再試行します。そのため、メンテナンスや先行ジョブなどですぐに開始できない状況では、開始ウィンドウが短いほど開始までの猶予と再試行の機会が少なくなり、EXPIRED になる可能性が高まります。なお、対象リソースがすぐに開始可能な状態であれば、開始ウィンドウが短いこと自体でエラーになるわけではありません。
完了ウィンドウとは
完了ウィンドウは、開始後のバックアップ処理を完了させるための上限時間です。「この時間までに必ず完了する」という保証ではありません。処理が上限を超えるとキャンセルや期限切れになる可能性があります。
適切な値は、リソース容量や変更量、過去の所要時間によって異なります。最初は十分な余裕を持たせ、AWS Backupのジョブ履歴から実績を確認して調整するのが安全です。
前のバックアップが終わらない場合
同じリソースの先行ジョブが実行中の場合、次のジョブはすぐには開始できず、開始ウィンドウ内で開始可能になるのを待ちます。AWS Backupは開始ウィンドウ中に再試行しますが、先行ジョブが長引き、次のジョブの開始ウィンドウも終了すると、そのジョブは EXPIRED になります。
| 状況 | 結果の考え方 |
|---|---|
| 先行ジョブが次の開始ウィンドウ前に完了 | 次のジョブは通常どおり開始可能 |
| 開始ウィンドウ中に先行ジョブが完了 | 再試行で次のジョブが開始できる可能性あり |
| 開始ウィンドウ終了後も先行ジョブが実行中 | 次のジョブはEXPIREDになる可能性が高い |
失敗を減らす設計ポイント
- CloudWatchやAWS Backupのジョブ履歴で所要時間を測る
- 開始ウィンドウを必要以上に短くしない
- バックアップ時間が1時間を超えることが多い場合は、頻度を再検討する
- メンテナンス時間帯や他のバックアップルールとの重複を避ける
- 失敗・期限切れをEventBridgeやSNSで通知する
RDSの「継続的バックアップ」は別物
RDSでAWS Backupの継続的バックアップ(PITR)を有効にした場合、ルールの頻度を毎時にしても毎時スナップショットが作成されるわけではありません。RDSのスナップショットは基本的に1日1回で、間をトランザクションログが補います。毎時の復旧ポイントを目的にするなら、スナップショット頻度ではなくPITRの要件を整理してください。
料金面は、AWS BackupでRDSをバックアップした場合の料金と無料枠もあわせて確認してください。
まとめ
毎時バックアップでは、頻度だけでなく開始・完了ウィンドウの設計が成否を左右します。開始ウィンドウを短くすると開始時刻の範囲を絞れますが、すぐに開始できない状況では猶予と再試行の機会も少なくなります。まず実際の所要時間やジョブの待機状況を確認し、復旧目標と運用負荷に合う頻度とウィンドウを選びましょう。
参考資料
※本記事は2026年8月時点のAWS公式情報とサポート回答をもとに一般化しています。実環境では対象サービス、リージョン、最新ドキュメントをご確認ください。
